エンスー通信 道具に凝るより前に

※ずっと以前に書いたので、文章内の情報は古いです。申し訳ない。

私はあまり道具に凝るというのは好きじゃありません。私は写真を撮るのが趣味になりましたが、カメラにあまりお金はかけないでおこうと心に決めています。今ある2台はまぁ必要に駆られて、という感じですからね、まだ。1台目で撮る写真の色に不満が出てきたから、2台目を買ったというわけですから。でもこれが、80万円のCONTAX Nデジタル(まだ発売になってないけど)とカール・ツァイスT*なんかを買って、「レンズの味」なんて言っちゃったりするとヤバいわけです。手段というか、道具であるカメラに気が行って、目的であるべき写真がおろそかになってしまう可能性が高いんですよね。おー、怖い怖い。ま、そんなお金もないですけど、そんな光景を想像してばかりいて、写真を撮りに行かなくなる可能性もあります。

という私も道具に凝ったことがあります。「文章を書く」という趣味です。万年筆ですよ、万年筆。いい原稿用紙(これにまでこだわると、紙質や升目の大きさまで自分で注文して作ってもらうということになるんで、パスしました)の上を滑る、太字万年筆の書き味というのは、たまらないものがあるんですが、万年筆は高い。私が持ってるのは定価2万5000円(購入価格2万円)のヤツと定価4万円(購入価格2万円)のヤツですが、こんなものを使ってると、文章を書くことに気が行かなくなっちゃう。で、結局、手紙と原稿用紙に書くことを指定されたレポート以外の文章は、PC上で無料のテキスト・エディタを使って書いています。フリーソフトだから軽くて使いやすいんです、これが。まぁ、気分転換をしたい時には、極アナログな感触の万年筆と原稿用紙で、というのもいいですけど、常用するには気が散りすぎるわけです。「この滑りがいいんだ」とか言いながら、マトモな文章を書けるハズがないですからね。

クルマで道具というと、ドライヴィング・シューズとか、ワックスとか、オープンカーに乗る時用のコートなんかでしょうね。ドライヴィング・シューズなんかは、買っただけで運転が上手くなったような気になって、結局運転が下手なまま、という情景がありありと目に浮かびます。

手段が目的と化すわけですね、要するに。やはり、そういうことをせずに精進しなくてはなりません。もちろん、ある程度のこだわりは必要ですよ。レンズ付きフィルムで写真の腕はあんまり上がらないし、すべりが悪くてインクの出が悪いペンで文章なんて書けないし、下駄で運転もできないですからね。手段は手段として割り切れる程度にしたいもんです。

問題は道具に凝るというのは、すごく面白いということです。PCでも、ベンチマークにしか使えないんじゃないの? というようなスペックのPCを所有している人がいますね。Pentium4の1.5GHzに256MBのDirectRDRAMを搭載し、ヴィデオ・チップは当然GeForce2 Pro+64MBのDDR SDRAM、ハードディスクはUltraATA/100対応の7200rpmドライヴという具合です。その割にインストールされてるソフトがベンチマークだけだったりしたらまるっきりのギャグですけどね。まぁ、そういうのが面白いというのは分かりますが、私はそういうのは避けようと思ってます。やっぱり、あんまり恰好よくない。例えば、クラシックPentiumの200MHzくらいのPCで、すごくスタイリッシュなWebサイトとかグラフィックを作ってるような人になりたいですね。

もちろん、腕が上がってくると、おのずと必要となる道具も高価になって行きます。3DCGをマトモにやろうと思ったら、デュアル・プロセッサ+512MBくらいのメモリは必要だという話ですし、デジカメで言えば、ボケ具合だとかボケの綺麗さというのは、10万円くらいのものでは得られません。また、画質もある程度になってくると、10万円くらいのカメラに不満が出てきます。それは、もちろんいいのです。必要になればお金を貯めて買えばいい。でも、必要がないものを買って、それだけで満足していてはいけないと思うわけです。エンスーというのは断じてそうであってはいけないと思うわけですね。